前提条件として、安倍首相の目的が「財政健全化」であるとする。
【波及効果】
「消費増税後は景気が落ち込むため、結果として全体の税収は減少する」というのは、財務省のHPに掲載されている過去の全体税収グラフを見る限りでは正しい(少なくとも税金を課すという事自体は、消費を抑制する(景気の過熱抑制)効果があるものなので、完全な誤りである可能性は無い。消費増税が主因でデフレ不況に陥ったかどうかは専門家でも意見の割れる部分であるが、要因の一つである事は概ね一致しているように思う。
来年4月からの増税で税収が落ち込むような事になった場合の政府の対応は税収増を見込んで、
・さらなる税率引き上げの実施(予定通り25年10月引き上げ)
・税率8%据置
・税率8%据置或いは10%に引き上げての軽減税率導入
・税率の一時的な引下げ(可能性極微)
・消費税撤廃(可能性皆無)
軽減税率の導入に関しては物品税を廃止した経緯から考えて、まず無いだろうと判断できる。事務手続きが煩雑になり過ぎるからだ。
現に麻生財相も8%時点では導入を予定していないと明言し、10%で「検討する」と言っている。これは「未来志向の関係」とほぼ同義語であるため、私はこれも無いと判断している。
尚、これに加えて福祉の削減という手段がある。こちらは支出の引き締めである。
医療費負担率の引き上げや、国民年金支給額の減額である。
【賛否】
「増税による税収減」を前提に、反対である。「社会福祉財源の安定的確保」を名目に税収が下がる政策をするのは正気とは思えない。結果として不足する予算に割かなくてはならない為、「最終的には安定的財源」から「不安定な財源」へ充当しなければならない。
それならば東北の復興に巨額の予算を組み、数年以内に復興させ復興した土地から税金を徴収した方が確実に税収増が見込めるではないか。これでも復興以後単年度の財政収支は健全化に進むのだ。全体の税収が落ち込めば東北復興が更に遠のく結果にしかならない。